zatubunsya’s blog

アラフォーオヤジが何か考えたことを考えたままに書き連ねさせていただいております。

「アンパンチ」で子供は暴力的になる…のか?

私が子供の頃から存在し、今でも大人気の『アンパンマン』。
さすがにアラフォーオヤジとなってからは私自身はあまり見ることはなくなりましたが、子持ちの知人からは「子供におとなしくしてもらいたかったらとりあえず見せておけ」と、困ったときの最終手段のように重宝されている『アンパンマン』。

そのアンパンマンの必殺技「アンパンチ」の影響で、幼児が暴力的になるのではないか……という説がここのところ論議を呼んでいるようです。

学生の頃、私もアンパンマンのことを「主題歌で『愛と勇気だけが友達』と明言し、仲間であるはずのカレーや食パン、動物たちを友達と認めない男」や、「最終的に常に暴力で解決しようとする危険な男」と呼んで友人たちとネタにしていたこともありました。
ですが、まさかネタではなく、本気で心配する大人たちが現れるとは……。
世の中、何が問題になるかわからないものです。

実際のところ、アンパンマンを見て育つ幼児は暴力的になるのでしょうか。
正直な話、私はそこまで心配するものでもなかろう、と考えています。

2002年に発売された『ゲーム脳の恐怖』(著・森昭雄)という本もありました。
めちゃくちゃ簡単に言えば「ゲームをしている時の脳はまったく活性化していない」という内容の本です。
「ゲーム=悪」ということで話題を呼びましたが、基本的には否定されています。
私もファミコンと共に育った世代ですが、脳に悪影響を受けることもなく、今も一応普通に生きてはいますし。

しかし現在でも、何か重大事件が起こるたびに「犯人の部屋からゲームやアニメのDVDが発見された」ということがニュースになることを見ると、「アニメやゲームが犯罪の引き金になる」という考えは根強いものだと思います。
「それを言ったらオタクは全員犯罪者になるのか?」という反論が出るのも毎度のことです。
私も『アンパンマン』などよりさらに暴力的描写のあるアニメを見てきましたし、格闘ゲームガンシューティングゲームなどもたしなんできましたが、犯罪を犯そうという気持ちになったことはありません。

ただ、暴力的描写があるアニメやゲームに影響を受ける人間が皆無である、とは言えません。
実際に影響を受ける人間もいるでしょう。
しかし、それはアニメ・ゲーム以外のコンテンツ、ドラマや小説、映画なども同様です。

単純に、現実の世界と創作物の世界は違うものである、という分別をつけられるか否か、という問題でしょう。
大多数の人間は心身が成長すると共にその分別をつけられるようになる、ということです。
分別をつけられるか、つけられずに実際に暴力的、犯罪的行動に出てしまうかは「人による」としか言いようがありません。

そう考えると、まだ心身の成長途中である幼児が「アンパンチ」を見て人を叩く、という行為に出る可能性は否定できないとも言えます。
ただ、その時はその時で「親がそれはダメだと教えるべき」という意見が多いようです。
私も、それはその通りだと思います。

ただ……ただですね。
実際に自分の子供が誰かを叩いたとして、「それはダメだ」と納得させるにはどう説明するべきか、と考えたとき、上手い説明ができるかどうか、となるとどうでしょうか。

理由もなく子供が友達を叩いたのだとしたら、「それはダメなことだ」と言えるでしょう。
バイキンマンは悪いことをしたからアンパンチされるんだよ」と言うことができるでしょう。
しかし例えば、相手が誰かが遊んでいる玩具を奪い取るとか、誰かを仲間外れにするとか、「悪いこと」をした時に「アンパンチでやっつけた」という場合はどう言えばいいのでしょうか。

子供にとって、「悪いことをしたらアンパンチでやっつける」は正義の行動です。
「玩具を奪う」「仲間外れにする」は悪いことではない、と教えることもできないでしょう。
それなのに「アンパンチをしてはいけない」と教えても、子供は「じゃあなんでアンパンマンバイキンマンを殴っていいのか」と思い、納得できないのではないでしょうか。

私には子供がいませんので明確な答えが出せないのですが、世の中の親はこういったシチュエーションになったら何と教えているのでしょうか。

このように考えると、「アンパンチは封印、常に話し合いで解決する」というアンパンマンの世界が今後デフォルトになっても不思議ではないかもしれません。
個人的には、そんな妙に説教染みたアンパンマンは見たくない、というのが正直なところですが……。