自称「さばさばした人」と交流した話
先日、大学時代の後輩の女の子と飲みに行きました。
その後輩の知人の女の子と一緒です。
あ、合コンとかではありません。
2人がこれから始める、ちょっとしたお仕事を手伝ってくれないか、ということで、能力と金はないけど暇はある私にお声が掛かったのです。
別に誤解されても困らない……というか、むしろ読んだ皆さんに誤解してほしかったとも言えます。
アラフォーオヤジだけど、女の子と酒を飲む機会くらいはあるんだぞ……という悲しい見得です。
まあ、アラフォーオヤジの大学の後輩と言っている段階で「女の子」と……これ以上は書いてはいけない気がします。
で、軽く打ち合わせも終わりまして。
その後は3人で、世間話をしておりました。
後輩の知人とは初対面だったのですが、そこは酒の勢いでなんとか会話も弾みまして。
そのうち、最近の私の状況についての話になったんですよ。
「時間はあるけど金はない」という、あまりアラフォーオヤジとしては望ましくないと思われる状況のことです。
自慢できることではありませんが、別に隠す意味もないので、それをそのまま話したんですね。
「えー、もうアラフォーでそれって、ヤバくないですかー?」
気持ち良いくらいのストレートを食らいました。
私も自分自身がヤバい状況にいることは自覚していますので、別にショックだとか傷付いたとかいうわけではありません。
ただ、なかなかヤバい状況にいる人に「ヤバい」と直球で言える人間は少ないので、逆に感心していました。
むしろ、彼女の隣にいた後輩の方が焦っていました。
付き合いは長いので、私がその程度で怒るような人間ではない、ということは知ってはいるのですが。
「ちょっと、失礼でしょ!」
そう注意していたのですが、注意された方は特に気にした様子もなく。
「えー、でもヤバいじゃん」
とか言っていました。
むしろ清々しいと思えます。
「いいよいいよ、ヤバいのは確かだし」
そう言ったのですが、後輩はイマイチ納得しかねるという様子で。
そんな後輩の様子を見ていた彼女は、さすがにちょっとマズイと思ったのか。
「すみません」
と謝ってきました。
「いや、本当に気にしてないから。大丈夫大丈夫」
私がそう言って、ひとまずその場は収まったのですが、その後飲んでいる最中に彼女がこんな一言を放ったのです。
「私、さばさばしてるんで、物事をはっきり言っちゃうんですよねー」
おお、これが話に聞いたことのある「さばさば系女子」か……。
始めて遭遇した生き物に、ちょっと感動する私。
多分、珍獣パンダを世界で初めて発見した人もこのような気持ちだったのではないでしょうか。
感動する私とは逆に、後輩はイライラしている様子。
「本当、それは止めてっていってるじゃない」
私に気を使っているようで、言葉を荒げたりはしませんが。
「でも、これが私の性格だし。言いたいことを言って、嫌われても別に構わないし」
おお、これが「さばさば系発言」か。
こういうものだ、とわかっていても、絶妙に「イラッ」とするものですね。
申し訳なさそうな顔の後輩に苦笑いを返し、その後もつつがなく酒を飲んだのでした。
帰宅後、後輩からLINEが届きました。
「今日は本当にすみませんでした。
今後の先輩との連絡、彼女ではなく私が担当しますから」
うん、まあ私としても、気心の知れた後輩の方が連絡相手としてはやりやすいんだけど。
「いやいや、本当に気にしてないから。
彼女にも今後よろしくって改めて伝えといて」
そんなLINEを返したのでありました。
これが私と「さばさば系」の初遭遇の顛末です。
大したことはない、と言えば大したことはないのですが……。
でもまあ、確かに「さばさば系」彼女の言動は、失礼と言えば失礼でしょう。
私は東京ドーム10個分くらいの広い心を持っているので平気ですが、怒る人は怒るでしょうね。
そのことは「さばさば系」彼女も自覚しているようなので、まあいいのです。
ただ、それを自覚していて、自分の失礼な言動に対して「私、さばさば系だから」とか、性格を言い訳に使われるとイラッとするのです。
「お前の性格なんぞ、知ったことではない」と。
「さばさば系」と言っておけば失礼な言動も許される、と考えているその心根に「お前、そんな甘いもんじゃないぞ」と言いたくなるのです。
……あれ、怒っていないつもりだったのに、なんかブログにまとめてみるとだいぶ「怒っている感」が出てしまいました。
いや、本当に怒ってはいないんですよ。
ちょっとイラっとしただけで。
イライラしていると思われるのもなんだかな、という感じなので、記憶を改変することにします。
飲み会で、「キュウリの一本漬け」を10本頼んだんですよ。
いや、私はキュウリの一本漬けが大好物で、すごく楽しみにしてたんです。
そうしたら、ある女の子が10本全部食べちゃったんですよ!
1、2本ならともかく、全部食べるなんてありえない!
イライラしている私に対し、彼女はこう言ったんです。
「私、カッパなんで、キュウリは全部食べちゃうんですよねー」
……そうか、カッパなら仕方がないね、追加注文しようか。
こうして、私と「カッパ系」彼女はキュウリをつまみに仲良く酒を飲んだのでした。