zatubunsya’s blog

アラフォーオヤジが何か考えたことを考えたままに書き連ねさせていただいております。

「マイ箸」の存在は知っていたけれど先日の「マイ○○」は初めて見ました

先日、いつも通りフラフラと飲みに出ていました。

「たまには普段行かないお店に入ってみようかな」ということで、ちょっと地元から離れた場所にまで電車で揺られてお出かけ。

 

いつもは電車で通り過ぎるだけの駅に初めて降りてみました。

ここでテレビのお散歩ロケでしたら、いろいろなお店を探して彷徨するのでしょうが、私の目的地は居酒屋のみ。

ちょっと駅前をフラフラして、ちょっと路地に入ったところにあった赤提灯の光に惹かれてそのお店に。

 

平日でまだ早めの時間帯のためか、お客の入りはあまり……という感じ。

カウンター6席のうち2席が埋まっていましたが、これは間違いなく常連さんでしょう。

私も1人であることを店員さんに告げると、カウンターの1つに案内されたので大人しくそこへ着席し、「黒ホッピーあります?」。

 

幸いにも置いてあったので、ありがたくいただくことにしました。

ちょっとホッピーの冷えが甘かったですが、私は別に「こんな温いホッピーが飲めるか!」と激昂するようなグルメ人ではないのでそこはスルー。

適当におつまみを頼んで、本を読みながらのんびり過ごしていたんですが、しばらくして新たに入ってきたお客さんが私の隣に座りました。

 

スーツ姿なので会社帰りのサラリーマンでしょうか。

髪はかなり白いものが多い、当然私より人生の先輩の方です。

そのサラリーマン氏が通勤カバンの中からハンカチに包んだ何かを取り出して、カウンターの上に置いたんです。

ハンカチの中から出てきたのは、お猪口でした。

 

これはまさか……「マイお猪口」!

お店の人は慣れているようで、サラリーマン氏の前に熱燗の一合徳利を注文も聞かずに置いています。

サラリーマン氏は、徳利からマイお猪口に熱燗を注ぐと、美味しそうにクピクピと。

 

で、あんまりにも私が興味深そうに見ていたのがバレたのか、サラリーマン氏はこちらを見てにっこり。

「マイお猪口ですか、いいですねぇ」

敵対心は感じなかったので、私も思わず声をかけてしまいました。

 

そのまましばらくお話を聞いたのですが。

趣味で焼き物をやっていて、気に入ったお猪口ができたらどうしてもそれでお酒が飲みたいので、お店に頼んで持ち込みOKにしてもらったそうです。

別に飲食物を持ち込むわけじゃないんだから問題なさそうですが、ちゃんとお店に許可を取るところに「良い人」っぽさを感じます。

 

「何個かお気に入りのお猪口があって、毎朝どれを持っていくか考えるのが楽しいんですよ」

私も「はー、いいですねぇ」と答えるのですが、私はお猪口を持ち歩くのは趣味じゃないので真似はしないとは思います。

自分ではやらないだけで「いいですね」と思っていることは本当なんですけどね。

 

そもそも私が日本酒派ではないので、お猪口を持ち歩いても意味がないですし。

だからと言ってホッピー用のジョッキを持ち歩きたくはありません。

デカくて重いし。

 

そもそも私、日本酒を飲むなら徳利とお猪口がちゃんとセットとして統一されている方が好きなんですよね。

ガラスならガラス、焼き物なら焼き物、素材だけでなく、形とか色味とか、セットになっている方が好み。

 

マイお猪口では、どうやったって徳利との統一感が取れません。

両親の再婚で急に家族になってしまった思春期男女のようなよそよそしさを感じてしまいます。

いや、私にはそんな経験はありませんし、知識が漫画とかアニメ準拠なので現実に急に家族になった思春期男女の反応とか知りませんけど。

 

だから私がマイお猪口を持ち歩くとしたら、マイ徳利も持ち歩かなければならない、ということになります。

はっきり言って、邪魔で仕方がないことでしょう。

ただでさえカバンの中が読みかけの本やら資料やらパソコンやらでパンパンなのに。

 

というわけで私は真似はしませんが、どちらかと言えばマイ箸よりはマイお猪口の方が受け入れられますね。

なんかマイ箸って、周囲に対して「自然破壊がどうの」「地球環境がこうの」と言っているようなプレッシャーを感じるんですよね。

偏見も甚だしいですが。

 

その点、マイお猪口なら単純に「趣味!」という一言しか感じないので、こちらも素直に「あら素敵」と思えるわけです。

多分サラリーマン氏にとっては、いつものお店に入ってお気に入りのお猪口でお酒を飲むのが幸せなひと時なんだろうな、と。

そんな時間が持てる、ということは羨ましいな、と思うわけです。