zatubunsya’s blog

アラフォーオヤジが何か考えたことを考えたままに書き連ねさせていただいております。

独り居酒屋で人と出会う話

私は良く居酒屋に飲みに行きます。
誰かと一緒に行くことはほとんどなく、基本的に一人で飲みます。
友人だろうが家族だろうが、誰かと一緒だと遠慮してしまって好きなものを注文することもできません。
料理が来ても「みんな食べるだろうから」と思ってほとんど手をつけられません。
ひたすら酒ばかりを摂取する、という少々無粋な飲み方になってしまいます。

その点、独り居酒屋は気楽です。
好きなものを好きなだけ飲み食いすることができます。
「ワリカンだから、あんまり飲み過ぎると他の人に悪いかも……」とか考えなくていいですし、興味がない話をいかにも興味ありそうに聞く必要もないのです。
これこそが自由です。

このくらいでコミュ障自慢は終わりにしておいて。
そんなわけで、私は良く居酒屋のカウンターでジョッキを傾けています。

先日、所用で普段は近付かない町に出掛けました。
首尾よく用事を済ませたのは、日が傾きつつある夕方近く。
昼間の暑さがまだしぶとく残り、ねっとりと肌に絡みついてくるような感じがしていました。

そんな暑さにうんざりしながら駅まで歩く中、一軒の居酒屋を見つけました。
店名、店の作りから見て、チェーン店ではなく個人経営の居酒屋です。
こっそり入り口のガラス戸から中をうかがうと、開店直後なのかまだあまりお客さんはいない様子。

暑くて熱中症になりそう=熱中症対策には水分補給が重要。
というわけで、一杯やっていくことに。

ちょいとばかり建付けが悪いガラス戸を引き、涼しい店内へ。
「いらっしゃい」と迎えてくれる女性店員さんに「一人なんですが」と声を掛けると、カウンターの向こうで何やら仕込みをしていた店長らしきおじさんが「こちらへどうぞ」とカウンターの一席を示してくれました。
さっそく座って黒ホッピーを注文。
カットレモンと氷が入った黒ホッピーをグビグビと流し込むと、全身にしつこくまとわりついていた外の暑さがスーッと静まっていきます。

やっぱり暑い時は冷えた黒ホッピーに限りますなぁ……。

そんな感じでしばらく過ごしていたのですが、気付くと隣に座ったお姉さんとお話しておりました。
コミュ障の割に居酒屋で酔うと見知らぬ人と話すのは平気な私です。
見知らぬ人、その場限りの付き合いだと思うからこそ、気を遣わずに話ができる、とも言えますが。

お姉さんはアラフィフ、時々この店に来て一人で飲んでいる、とのことでした。
最初はテレビを見ながら、なんとなく他愛もない会話をしていたのですが、なぜかだんだんお姉さんの過去がディープに語られることに。
「昔はススキノで働いてた」とか「ダメな〇〇〇のオヤジと付き合ってた」とか「そのオヤジの奥さんに〇されそうになった」とか。
ヤバくて書けないところは伏字になってます。

「いろいろとあったけど、なんだかんだで生きてるのよねぇ」
「そうですね、いろいろな出会いもあるでしょうけど、どんな人とも無駄な出会いってないですしねぇ」
そんな会話を交わした後、お姉さんは「じゃ、お先に」と帰っていきました。

……と、ここで終わればなんとなく綺麗な話なんですが。
後で店長さんから「あの人、一見の男の人に声を掛けて奢ってもらうのが好きなんだよね」という衝撃の一言が。
一応そういう場面になったら奢ろうとしている人に「いいんですか」と声を掛けているらしいのですが、酔いも手伝ってか大概の人が「いいよいいよ」となってしまうために出入り禁止にもできない、ということらしいです。

私が何故そのターゲットにならなかったのかは確認のしようもありません。
ただ単に「どう見ても金がなさそう」と判断されたのかもしれません。
なんかいろいろと語ってスッキリしたのかもしれません。

いずれにせよ、ちょっと面白い話も聞けましたし、興味深い体験でした。
これだから独り居酒屋は止められないんですよね。