zatubunsya’s blog

アラフォーオヤジが何か考えたことを考えたままに書き連ねさせていただいております。

私がN国をどうにも好きになれない理由

連日のように「N国」こと「NHKから国民を守る党」の話題がニュースを賑わせています。
「NHKをぶっ壊す!」というわかりやすいフレーズと「NHK放送のスクランブル化」の一点のみを目標としたわかりやすい主張は、政治に関心がある、ないを問わず多数の人々から注目を集めました。

この「わかりやすさ」は、選挙で票を集めるには非常に有効であると思います。
日本人は一定の年齢に達すれば誰もが投票権を持つことができますが、誰もが政治に関して深い考えを持っているわけではありません。
どの政党がどういったマニフェストを掲げているか、どの政治家がどういった政策を唱えているか、それをすべて把握し、考えて投票をしている、という人はそれほど多くはないでしょう。
どの党に投票するかを迷っている人の中には、この「わかりやすさ」に引かれて票を入れた、という人も少なからずいることでしょう。

私は「NHK放送のスクランブル化」という政策自体には、特に反対意見はありません。
NHKの受信料を支払うことに不満を持っている人は多くいるでしょうし、受信料を払う、払わないの選択肢が国民に与えられること自体は間違ってはいないと思います。
ですが、連日のニュースを見ていて、やはりN国のことをどうにも好きにはなれないのです。

それはやはり、N国代表の立花孝志氏の行動に起因しています。
自身に批判したマツコ・デラックスさんの発言を問題視し、それに抗議する、それ自体はアリでしょう。
ですが、テレビ局にまで自身の支持者を多数引き連れて抗議に乗り込む、という行動は、度を越した行動だと思います。

企業にクレームを入れる「モンスタークレーマー」の中には、電話をして思い通りにならないと「直接行くからな!」と恫喝する人間もいます。
2017年には「荷物が届かないから」とチェーンソーを持ってヤマト運輸の営業所に乗り込んだYouTuberの事件もありました。
立花氏の行動は、それらと同じようにしか見えないのです。

立花氏はマツコさんの発言を「N国に投票してくれた有権者をバカにした発言」と言っています。
自分が怒っているのは、自分をバカにされたからではなく、有権者をバカにしたからだ、という理屈です。
しかし、これは「有権者」を盾にとった言い訳でしかありません。
有権者の存在を理由にして、自分に対する否定的発言を暴力で封殺しようとしているだけです。
マツコさんの発言と立花氏の行動、どちらが有権者をバカにしているのでしょうか。

崎陽軒のシウマイを買わない」発言などは論外です。
崎陽軒という一企業、TV番組のスポンサーに国会議員の立場でプレッシャーをかけているわけですから。
NHK放送のスクランブル化と崎陽軒のシウマイ不買発言にまったく関係はないことを考えると、この発言は国会議員という立場を悪用したクレーマーの暴言でしかないのです。

この件に対してTwitterで批判的発言をした高須克弥さんをブロックする、という行動もありました。
「YouTubeで話し合いする準備がある」と立花氏側は言っているそうですが、だとしてもTwitter上でブロックする必要性は皆無なはずです。
これも、YouTubeという「自分の土俵」に引きずり込むことで自由な発言をけん制する、という考えのようにしか私には思えません。

立花氏のこういった「炎上商法」ですが、本人はそれに自覚的です。
N国のような小さな政党が世間の注目を集めるには、こういった「炎上」が有効であると考え、計算の元に行動している、というのは本人も認めています。

でも、もう十分にN国も立花氏も名前を売ることに成功したではありませんか。
私は立花氏の人格は好きになれそうにはありませんが、だからと言って「国会議員にふさわしくない」とは思いません。
完全無欠の人格者で何もしない政治家よりも、多少の批判を浴びても自分の政策実現のために動く政治家の方が政治家としてはふさわしいと思います。
もうこういった手法は止めにして、今後はNHK放送のスクランブル化という本来の目的のみに注力していただきたいと思うのです。