zatubunsya’s blog

アラフォーオヤジが何か考えたことを考えたままに書き連ねさせていただいております。

笑い、感動、恐怖、驚き……自己感情を表現するためにはインプットも必要と思った話

昨日、橋沢進一プロデュース・木原浩勝アワー「口伝怪奇譚」というイベントを鑑賞してきた感想をブログにアップしました。

イベント全体の流れとしては書いた通りなのですが、他にもちょっと感じたことがありましたので追記という形で。

 

イベントに出演していたのは、作家・怪異蒐集家の木原浩勝さん、俳優の橋沢進一さん、同じく俳優・怪異物蒐集家の渡辺シヴヲさん。

そして、若手の舞台女優さんが4人。

そのように書きましたが、覚えているのは先に挙げた3人の男性のみ。

4人の女優さんは、正直ほとんど印象に残っておりません。

 

もちろん、イベントの中心役となっていたのが男性3人であるため、という理由はありますが、それ以上に4人の女優さんたちがイベント中にどのようなリアクションをし、どのようなことを話していたか、ということをまったく覚えていないのです。

怪談を聞いている最中も特に「怖がっている」というリアクションでもなく、「何か不思議な体験とかない?」と話を向けられてもエピソードが出てくるわけでもなく……。

「ただ、そこにいるだけ」という感じでした。

 

TV番組で見られるような、大げさに悲鳴を上げたり、椅子から転げ落ちたり、という大きな(言ってしまえばわざとらしい)反応をしてほしかったわけではありません。

わざとらしいリアクションは、むしろ興ざめです。

でも、表情とか、ちょっとした身体の動きなどで、「怖い話を聞いているんだな」という雰囲気を盛り上げることはできると思うのです。

残念ながら、それが感じられませんでした。

 

まだキャリアが浅い人たちばかり(と言うか、このイベントがほぼ初舞台という方もいらっしゃいました)ということなので、仕方がない部分はあるとは思います。

そうは言っても、「役者」として活躍することを目指している人間なのですから、もう少し観客に対して自分の存在をアピールするような言動があっても良かったのではないかな、と考えてしまうのです。

 

「その場にいるだけ」で周囲の目を引き付ける、生まれながらのスター性を持った人間もいるでしょう。

しかし、そんな人は1000人に1人、1万人に1人の存在かもしれません。

自分がそうでないと思うのならば、何かしら行動でアピールするべきでしょう。

それがないのですから、「なぜ役者をやりたいのかな?」と疑問に思ってしまいます。

 

イベントの後半で、その謎が少しだけ解けました。

彼女たち、知識の量が男性3人に比べて圧倒的に少ないのです。

まだ20歳そこそこなのですから、長く生きてきたオジさんたちに知識量で敵うはずはありません。

私も、年上の人と話すときに知識が追い付かず、「もっと早く生まれていれば一緒に盛り上がれたのに!」と悔しい思いをすることが多くあります。

知識がなくては、話を聞いても「知りません」という反応しかできないのです。

 

ラフカディオ・ハーン小泉八雲)も知らない、京極夏彦も知らない、耳なし芳一も知らない、分福茶釜も知らない、日本の伝統文化も知らない……知らないから、何もできない。

「ホラー映画は怖いからあまり見ない」という発言もあり、ちょっとどうかと思いました。

 

一般的には、それで何の問題もないのです。

ただ、役者を目指すのであれば、さまざまな役に成り切って演じることが必要でしょう。

そして、役に成り切るのには、さまざまな知識が必要なはずです。

だから、私の知る役者さんたちは、皆さんさまざまなものに興味を持ち、好奇心を持ち、知識を持っている人がほとんどでした(時々例外もいましたが)。

 

役に成り切ること、さまざまな感情を表現することは、自分の中に蓄えた知識、情報をアウトプットすることです。

アウトプットするには、インプットすることが必要。

ブログでさまざまな情報を公開している方々には、舞台とブログという場所こそ異なれど、おわかりいただけるのではないでしょうか。

 

責めるつもりはないのですが、ただただ「役者になりたい」だけで、目的意識などがちょっと足りないのではないかな、これが今の若い子たちのスタンダードなのかな……と、ちょっと寂しく思った出来事ではありました。