「腰椎すべり症」って言葉の響きの割にヤバそうだった
大相撲九州場所、横綱・鶴竜休場の原因となった「腰椎すべり症」。
何度か耳にしたことがありますが、そのたびに「なんか良くわからないけどちょっと間が抜けた感じがするな」と思っていました。
「すべり」の部分が悪いんですよね。
「ギャグがすべった」とか「すべって転んだ」とか、なんとなくユーモラスな感じがしてしまうのです。
でも、この病気になった人間からしたら、そんなのんきなことは言っていられないでしょう。
私もブログでこの名前を出した以上「なんとなくユーモラス」とか思っていないで、正しい知識を得なければなりますまい。
腰椎すべり症とは、本来きれいな積み木のように積みあがっている腰椎が、なんらかの原因でずれてしまった状態とのことです。
「達磨落とし」で遊んだことがあるでしょうか。
きれいにまっすぐ積みあがっている時は安定していますが、一つ一つのブロックがずれてしまうと途端に安定性を失ってしまいます。
そんなイメージでしょう。
腰椎は第一から第五まであり、達磨落としのブロック部分を椎体、椎体の間を繋ぐ役目を果たしているのが椎間板です。
この椎間板の異常や、背骨の関節である椎間関節の故障によって、きれいに積み重なっているはずの椎体が前後にずれてしまう、これが腰椎すべり症、とのことです。
一言で腰椎すべり症と言っても、生まれつき脊椎の発育に問題があるため起こる「形成不全性すべり症」、関節部分の故障によって起こる「分離すべり症」、これまで支えていた骨を支えられなくなって起こる「変性すべり症」の三種類に分かれます。
鶴竜の腰椎すべり症が、この三種のどれに分類されるのかは調べても出てきませんでしたが、分離すべり症か変性すべり症のどちらか、でしょうか。
憶測なので間違っていたらすみません。
症状としては、腰痛や足の痛み、足の痺れが起きるとのこと。
相撲は、ぶつかり合って相手を受け止める時、相手を押し込む時、組み合って相手を投げようとする時、そのすべてで腰を使うことになります。
このような症状が出てしまっていては、休場もやむを得ないでしょう。
初日の朝稽古の時、四股を踏んでいて再発してしまった鶴竜の腰椎すべり症。
四股というのは、なんとなく足を上げて下ろしているだけ、のように見えますが、本格的に踏もうとするとそんなに単純な運動ではありません。
体重を片足にぐっとかけ、体を左右に傾けることによって体重がかかっていない方の足を高く上げる、という全身運動です。
慣れない人は数回四股を踏んだだけで汗が噴き出してくるそうです。
ただ足を上げるだけならそうでもありませんが、本格的な四股はけっこう腰に響きます。
元々持病として持っていた鶴竜の腰椎すべり症が再発してしまっても、決しておかしな話ではないんですね。
それがたまたま、九州場所の初日に起こってしまったというのが残念ですが、仕方がないとも言えましょう。
幸いにも、腰椎すべり症はよほど酷い場合でもなければ、手術をせずに安静にしていたり、薬を服用したり、コルセットの着用などで回復が見込めるそうです。
鶴竜の場合の手術する、という情報は出ていないので、今場所は残念ですがゆっくり直して来年初場所にはまた元気な姿を見せてくれることを期待します。
しかし、鶴竜だってもう34歳。
一般的に見れば若いですが、相撲取りとしては高齢の部類に入ります。
本人は相撲協会に残って弟子を育成することに前向き、とのことですが、まだ日本国籍を取得できていないので、それが心配と言えば心配です。
日本国籍取得に関して特に問題はなさそうですので、承認されないということはないでしょうけれど。
ちなみに白鵬の帰化申請が鶴竜よりも早く承認されたのは、奥さんが日本人だから、という点が大きく影響しています。
鶴竜の場合は奥さんもモンゴル人なので、奥さんも帰化するのかなど、少し時間がかかっているのかもしれません。
まあ、そんな先のことばかり考えても仕方がありません。
故障を抱えながら相撲を取っている力士は数多くいますし。
まずは本人が納得するまで現役で相撲を取り続けてくれることを期待し、応援したいですね。