zatubunsya’s blog

アラフォーオヤジが何か考えたことを考えたままに書き連ねさせていただいております。

今年の秋刀魚は高級品かも……でも食べずにはいられない

昨日、近所の焼き鳥屋にて。

カウンターに座って「黒ホッピー?」「お願いします」のいつもの流れを済ませた後、メニューを見ますと。

「秋刀魚、ようやく入荷しました!」

この文字が目に飛び込んできました。

 

「そう言えば、秋刀魚出すのいつもより遅かったですね」

「今年は全然取れないらしくてね。ウチみたいな店で出すには、高すぎたんだよ」

魚介メインの店ならまだしも、基本的に焼き鳥屋だから高い秋刀魚は出しづらい、とのこと。

 

 

気になってちょっと調べてみたところ、今年は秋刀魚の水揚げ量が例年の一割程度、とのことでした。

それは高くなってしまうはずです。

秋刀魚の塩焼きが680円。

おつまみは高くても500円くらいのこの焼き鳥屋の中では、最高級品です。

 

まあ、秋刀魚の塩焼きは大好物ですし、今年初の秋刀魚。

こはちょっと高くても食べておくべきでしょう。

江戸っ子は、女房を質に入れてでも初鰹を食べたという話ですしね。

私は江戸っ子ではないですし、鰹ではなくて秋刀魚ですが。

 

しばらくして届いた、炭火で焼かれた秋刀魚の塩焼き。

ちょっと焦げた皮から、ジュウジュウと音を立てて脂が滲み出て……もう、見た目からして美味しいことは間違いありません。

早速お腹に箸を入れて、一番好きなワタの部分をパクリ。

 

美味しいです。

ワタのほろ苦味と秋刀魚の旨味が口いっぱいに広がります。

細かい腹骨が一緒に口に入ってきますが、そんなものをチマチマと除けるのも馬鹿馬鹿しい。

骨はよく噛めばいいのです。

 

ワタは熱々が美味しいですから、しばらくは黒ホッピーもそこそこに、一心不乱に箸を口に運びます。

ちょっとお皿に残ったワタは、軽く醤油をかけた大根おろしを絡めて残さずいただきます。

フランス料理でお皿に残ったソースをパンで残さずいただくのと同じです。

塩味でも十分美味しいですが、醤油が加わるとさらに美味しさアップ。

大根おろしで口の中もさっぱりとして、たまりません。

 

しかし、子供の頃はワタなんて「苦いし気持ち悪いし、大嫌い!」でしたが、大人になると大好物になるのですから、不思議なものですね。

 

ワタを堪能した後、身の方に取り掛かります。

ワタと身を一緒に食べるのも美味しいですが、私は別々に味わう派ですね。

そんな派閥があるのかは知りませんが。

 

食べる前は「うーん、ワタに比べると身の方はちょっとな……いや、嫌いじゃないけどさ」とか思っているのですが、実際に食べるとやっぱり美味しいものです。

パリパリの皮とホクホク白身、そして噛むと溢れるたっぷりの脂と肉汁……たまりません。

背びれとか尻びれとか小骨とか、細かいことは気にしません。

とにかくよく噛めばいいのです。

 

お皿に残ったのは、頭と背骨と尻尾だけ。

しかし、まだ秋刀魚の楽しみは終わっていません。

焼き場で焼き鳥を相手にしている店長に、ちょっと余裕があるかな、というタイミングで声を掛けます。

 

「店長、骨焼いてもらえます?」

「はーい、お皿貸して!……相変わらず綺麗に食べますね!」

褒めてもらえました。

魚を綺麗に食べるのは、私の得意技です。

 

しばらく待つと、出てくるのはカリカリに焼かれた秋刀魚の背骨。

鯵や鰻の骨せんべいの、秋刀魚炭火焼きバージョンです。

醤油をちょろっと垂らして、ポリポリと。

香ばしくて、歯ごたえがあって……まあ、味は「よく噛むと染み出てくる」くらいなので、飛び上がるほど美味いもの、というわけではありませんが、「秋刀魚を食べ尽くした!」という感じがして大満足です。

 

……この食べ方は、このお店で以前秋刀魚を食べた時に「骨、焼きます?」という店長の一言で知ったものです。

だから私も遠慮せずに頼めるんですが、他のお店だとどうなんでしょうか。

「面倒くさい客」とか思われそうで、他のお店で頼んだことはないんですが。

 

しかし、昔は「庶民の味」だった秋刀魚も、この調子だと高級魚になってしまいそうですね。

手が出せるうちに、たくさん食べておきますか。

今回は塩焼きでしたが、刺身も美味しいですから、見かけたら注文したいと思います。