肉を食べることは「罪」になる……そんな時代はちょっと勘弁願いたい
昨日、ネットニュースで見掛けた記事ですが。
「肉食は地球を破壊する行為であり、罪として裁かれるべきである」という主張をしている弁護士の話でした。
イギリスの弁護士、マイケル・マンスフィールドという方の主張であり、正確には「肉食が」ではなく「肉食のための畜産業が」温室効果ガスを大量に排出しているため、自然を破壊する「エコサイド」という罪に問うべきだ、ということのようです。
まあ、肉食のための畜産業がダメと言っているのですから、肉食がダメと言っているのと完全に同じ意味なのですが。
このマイケル・マンスフィールド弁護士は、肉や乳製品の消費をやめることを促す活動「ビーガン・ナウ」を設立している、とのことで。
それを読むと「ああ、ヴィーガンがまた極端な主張を始めたな……」という感想を抱いてしまいます。
もちろん、ヴィーガンにもさまざまな方がいる、ということは承知はしているのですが。
肉や魚を食べないベジタリアンの中でも、ヴィーガンはさらに卵や乳製品、ハチミツなども口にしない「完全菜食主義」を貫く人々です。
動物を殺して肉を食べるのはもってのほか、卵や乳など動物性の生産物を人間が奪うのも好ましいことではない、というのが、ヴィーガンの主張です。
めちゃくちゃざっくりとした説明ですが。
個人的には、「本人が食べたくないなら、食べなきゃいいじゃない」というのが私の考え方です。
「私は食べたいから肉も卵も食べるけど」。
私に限らず、ほとんどの方はそう考えているのではないでしょうか。
ヴィーガンの方々に「いや、肉を食え!」と強要するようなことはしないでしょう。
しかし、一部の過激なヴィーガンは、「肉を食べるな!」と他の人間にも主張を押し付けてくるのですよね。
だからいろいろと問題になり、「またヴィーガンか……」と思わせてしまう原因となっているのです。
2018年10月、フランスでは一部の過激派ヴィーガンが肉の販売店を襲撃するという事件が起こりました。
日本でも、今年4月にお台場で行われた「肉フェス」でヴィーガンが抗議活動が行われたり、6月に渋谷でヴィーガンによるデモ行進が行われたりしています。
幸いにも日本ではまだヴィーガンによる暴力的な活動は行われていませんが、今後大きなトラブルが起こらないとも言えません。
「他人に主張を押し付けず、自分たちが食べたくないなら食べなければ良いじゃない」と先ほど私は書きましたが、実はこの考え方ではヴィーガンの主張と折り合いをつけることは不可能である、ということには気付いています。
なぜなら、私にとって完全菜食主義は「食事に対する嗜好」の問題ですが、ヴィーガンにとって肉食は「動物虐待であり、罪」であるためです。
彼らを満足させるには、肉食が完全に世界からなくなるしかないのです。
まあ、無理ですよね。
「肉を食べなくても生きていける!」とヴィーガンは主張しますが、私たちは栄養素のためだけに肉を食べるわけではありません。
味、香りなど、すべてを感じることで食事に満足するわけです。
自分たちが美味しく食事するために、動物や植物の命を奪っている、これはその通りでしょう。
しかし、だからこそ私たちは食事の前に「いただきます」と手を合わせるのです。
自分の体内に取り込むすべての食材に対して、感謝をするのです。
また、身体が完成している大人ならばともかく、さまざまな栄養を必要とする子供に完全菜食主義を強要することは危険です。
オーストラリアでは1歳の女の子が両親にヴィーガン食を強いられた結果、くる病(栄養不足による骨格異常)になったという事件が起こり、アメリカでは生後6か月の乳児が豆乳やリンゴジュースのみ与えられ続けた結果、餓死してしまうという事件も起きています。
中には、子供の頃からヴィーガン食でも健康に生きている、という人もいるのでしょうが、実際にこういった悲劇も起きている以上、「完全菜食主義でも問題はない」という主張に頷くことは、私にはできません。
何よりも、私自身が肉を食べたい人間ですから。
ヴィーガンの主張に歩み寄るのは、正直ちょっと難しい、というのが本音ですね。