zatubunsya’s blog

アラフォーオヤジが何か考えたことを考えたままに書き連ねさせていただいております。

メンタリストDaiGoさんのYouTube動画がフェイクニュースになってしまった話

メンタリストDaiGoさんのYouTube動画がフェイクニュースなのではないか、と話題となっているという話を小耳に挟みました。

話題となっているのは「宿題が無意味であることが科学的に証明されている件」というタイトルの動画です。

全国の宿題嫌いの子供たちが、泣いて飛びつきそうなタイトルですね。

 

メンタリストDaiGoさんの動画は、元ネタとしてさまざまな論文や大学の研究結果などを使用しています。

そのことについては、何の問題もありません。

ちゃんと動画に参考とした論文を表記していますし、単なる思い込みによる自分の主張を垂れ流すよりは、よほど良心的でしょう。

 

ただ今回は、その論文の解釈が間違っているのではないか、ということで問題となっているようです。

 

採り上げられた論文は「Does Homework Improve Academic Achievement? A Synthesis of Research, 1987–2003」という、2006年にアメリカ・デューク大学のハリス・クーパー教授によって書かれた論文です。

タイトルを日本語に訳すと、「宿題は学業成績を向上させるのか? 1987年~2003年までの研究の総まとめ」となります。

メンタリストDaiGoさんは、この論文を根拠として動画内で「宿題は無意味である」と言い切ってしまっています。

 

しかし、この論文は決して「宿題は無意味だ」という結論を出しているものではありません。

私は英語の論文を読めるような英語力は持っておりませんので、実際に読んだ方の引用となってしまいますが、「宿題は学習の重要な過程」「年齢が上がるほど宿題は効果的」という記述がされているそうです。

 

つまり、総合的に見ればこの論文は「宿題には効果がある」と書かれていることになります。

ただし「宿題を正しく出せば」効果がある、ということであり、やみくもに大量に出したり、教師や親が強いプレッシャーをかけるようなことがあると逆効果にもなる、ということもクーパー教授は述べてはいます。

しかし、だからと言って「宿題はすべて無意味である」と言ってしまうのは、論文の本質を掴んでいないフェイクニュースだ、と批判されてしまっても仕方がないでしょう。

 

おそらく今回の件は、メンタリストDaiGoさん(とそのブレーン)による論文の解釈的勘違いが原因と思われます。

まさか意図的に論文を読み間違えて、衝撃的なタイトルを付けてアクセス数を稼ごう、などとは考えていないでしょう。

チャンネル登録者が170万人を超えているような人間が、そんな詐欺紛いの手口でアクセス数を稼ぐ必要性はないからです。

 

さらに今回のこの研究がアメリカで行われたものであり、日本にそのまま適用できるのか、という問題もあります。

日本的な宿題の出し方が、クーパー教授の批判する「無駄に大量で、子供にプレッシャーをかける」ようなものであるならば、メンタリストDaiGoさんの言う「宿題は無意味である」という主張にも頷ける点があるのかもしれません。

ただもしそうだったとしても、論文の解釈を発表者の意図と異なる形で使用した、という点では説明の必要はあるとは思いますが。

 

やはり必要なことは、情報を受け取った側の人間が、受け取った情報を妄信するのではなく、一度はその情報の真偽を確認してみる、ということなのでしょう。

ただ受け取った情報をそのまま信じてしまうのではなく、自分の頭で考えてみるということです。

仕事をしていても「こう言われたから」という理由で、それ以上考えることなく作業をする人間がいます。

その業務が持つ意味などを考えることがなく、ただ単に作業として行っているため、不測の事態が起こると対応できず、どうすればいいのかわからなくなるようなことになるのです。

 

中身が空っぽのカボチャではなく、脳みそが詰まった頭を首から上に乗せているのですから、自分の頭で考えるということは非常に重要なのではないか、と思います。