居酒屋における男女関係のトラブルとか、どうでもいいわりに面倒臭いものである
「この前、某有名居酒屋に入ろうとしたら、女の子だけはダメって言われたんですよ」
先日、高校時代の後輩の女の子と飲んでいたら、居酒屋の話になりました。
なんでも、女の子だけで某居酒屋(居酒屋業界関連では結構名前の知れたお店)に入ろうとしたら断られた、と。
昔はちょこちょこそういうお店を聞いたものですが、いまだにそういうルールを守っているとは、ある意味尊敬もしますが時代錯誤の感も否めません。
「女の子だけって、何人?」
「4人です」
「あー、そりゃ断られるかもしれないな」
男性客中心の居酒屋では、女性のグループ客をあまり好まない傾向があります。
普段男だけで飲んでいるような居酒屋に女性グループがやってくると、調子に乗る男性客というものが必ず現れるからです。
普段は静かに飲んでいるような男性客が妙に浮かれて女の子に話し掛けるような場面、私は結構目撃しています。
まあ、若い女の子と交流を持ちたい、という気持ちは同じ男としてはわからなくはないのですが。
でも、調子に乗って騒いだり、無意味に話し掛けすぎて普段の空気を壊したり。
悪いのは女性客ではなく、それに飛びつくような男たちなんですよね。
ただお店としては、そんな常連男客たちに注意もできないので、あらかじめ女性のみのグループを入れないことで対処している、という面があるのかもしれません。
そういったことを説明しましたが、あまり納得はいっていない様子でした。
それはそうでしょう、自分たちは悪くないのに、入店拒否されたのですから。
「断ったのって、女将さんでしょ」
「はい、そうです」
ああ、やっぱりな、という感じがしました。
こういう話を聞いた時、大体断る役目は女将さんのことが多いのです。
たぶんですが、過去に女性客を入れて店の空気が面倒臭いことになった経験があるのでしょう。
自分たちが守っているお店を荒らされるのは御免だ、という考えは、男性主人より女将さんの方が強いような気がします。
別に男性主人だって断る人はいるでしょうし、女将さんでも女性グループを迎え入れてくれる人はいるでしょうが、これはあくまでも私の経験範囲、ということで。
でも実際、客の男女間のトラブルとか、お店としては面倒なことが多いらしいです。
常連客が店員の女の子に惚れてしまったり、客同士の恋愛トラブルがお店の中でもああだこうだ言われたり。
そういう面倒なことに触れてしまうと、女性客に対して厳しくなるお店の態度もわからなくはないんですよね。
昔、女の子の店員さんが中心の立ち飲み屋によく通っていたことがあるのですが、店長さん(男性)と仲良くなって閉店後に一緒に飲みに行ったりしていたんです。
その時言われたのが、「〇〇さんは、お店の女の子に手を出そうとか全く考えてないでしょ? だからこうやって一緒に飲めるんだよね」ということでした。
どうも、客の男と店員の女の子の恋愛絡みでゴタゴタが結構続いたらしく、店長からすれば「客も店員も、マジで面倒臭ぇ!」と思っていたようなのです。
「いや、私だって女の子に手を出そうとしてるかもしれないじゃないですか」
「そんな奴は飲みながら本は読まないよ」
私が男として必死に守ろうとしたプライドは、あっさり切り崩されました。
実際私は、女の子店員とかどうでもよく、安くて美味いつまみを出すから、という理由で通っていたもので。
その後、残念ながらそのお店はなくなってしまったのですが。
元店長とは今でも時々連絡を取って、飲みに行っています。
「当時は大変だったよ。もう女の子が多い店はこりごり」
そう語る店長は、今では男性店員ばかりの居酒屋をやっています。
「でもあの頃、〇〇さんはお店の女の子から人気あったんだよ。基本的に黙って飲んでて、女の子に変なこと言わないし、会話したら会話したで普通の受け答えするし」
なぜ、それをあの当時言ってくれなかったのか。
うーん、でもそれは「酔っ払いオヤジの中ではまだマシな部類だった」というだけの話で、決して私がモテていた、というわけではないんですよね。
喜んでいいものなのか、どうなのか。
まあ、私としては面倒な恋愛トラブルに巻き込まれるより、のんびり本を読みながら黒ホッピーを飲んでいた方が楽だ、というのは確かではありますけどね。