ファッション的にアレだけど腰のチェーンは外せない
私、常日頃から家の鍵をズボンのポケットに突っ込んでいるんですが。
鍵をチェーンに付けて、そのチェーンをベルトにくっつけています。
たまに「そんな中高生がするようなことを……」とか言われます。
スーツの社会人がチェーンを腰に付けていたら違和感バリバリですが、冠婚葬祭以外はずっとラフな私服なのでまだ許されているのではないでしょうか。
いや、許されていると思っているのは自分だけかもしれませんけど。
ファッション的にカッコいいとか、そんな風に思っているわけではないんですよ。
簡単に言うと、一度鍵を落として青くなった経験があるのです。
もう二度とあんな思いはしたくないのです。
我が家の鍵は、普通の鍵とは違って金属製のカードみたいなプレート状になっています。
オートロックもない木造アパートのくせに、なぜかそんなところだけ妙なハイテク感を出してくるのが不思議です。
で、その鍵を、ポイントカードや交通系のICカードを入れたカード入れと一緒にズボンのポケットに突っ込んでいるんですが、そのカード入れを取り出す時に、鍵を落としてしまうことがあるんですよね。
プレート状であまり重くないためか、落としてもあんまり音とかしなくて気付かない場合があるのです。
これは危険です。
「一度鍵を落として青くなったことがある」と書きましたが、これもカード入れと鍵を一緒にポケットに突っ込んでいたことから起きた悲劇です。
ある日、ボーっと電車に乗ってちょっと遠くまで出掛けていったんです。
目的地に着いて、自動改札を通るためにカード入れを取り出した時、鍵がないことに気付きました。
あれ、と思って、念のため他のポケットやらカバンの中やらを探ってみたのですが、どうしても鍵が見つかりません。
家に忘れたか……と思いましたが、それはそれで問題です。
鍵が家にあるということは、家の鍵をかけずに遠出してきた、ということだからです。
性格的には呑気なことに定評のある私ですが、さすがにこの時ばかりは「あれ、ヤバくない?」と思いました。
家を出る時、鍵をかけたかかけなかったか、思い出そうとしても思い出せません。
「かけたような気もしますし、かけなかったような気もします。記憶にございません」
と、問題を起こした政治家の無理のある言い訳みたいな状態でした。
そこで、出たばかりの改札を入り直して自宅へ。
もうボーっと電車に乗っていられません。
何度もカバンを探り直したり、ポケットをチェックしたり。
それでも鍵が見つからないので、「ああ、これは家の鍵をかけずに出てきてしまったんだな、私のうっかりやさん」とか思いながら自宅に到着。
自宅のドアの鍵、かかっているんですよねぇ。
さすがの私も、鍵をかけずに出かけてくるほどのヤバさは持ち合わせていなかったようです。
でもそうすると、鍵を確実に持って出てきているわけで。
となると、自宅から目的地までの長距離の間のどこかで落とした、という話になります。
これはこれでヤバいのです。
もう、必死で駅までの道をくまなくチェックしながら戻りましたよね。
ここで見つからなければ、ほぼアウトだろう、と。
電車の中で落としたのであれば、普通の鍵ならばともかく薄いプレート状の鍵が出てくるとは思えませんから。
いつもの倍以上の時間をかけて駅まで辿り着きましたが、鍵は見つかりません。
念のため、駅員さんに届いていないか聞いてみるか……と思ったその時。
改札からちょっと離れた場所に、鍵が落ちているのを見つけました。
もう、喜びのあまり踊ろうかと思いましたね。
でもあまり不審に思われるわけにもいかないので、何食わぬ顔で鍵に近付き、できるだけ自然な動作ですっと拾い上げ、そのまま改札を抜けました。
「これ、ウチの鍵なんですよ! だから拾ったんですよ!」とかアピールするのも、それはそれでヤバい奴に思われそうなので。
これはほぼ100%、改札を通ろうとしてカード入れをポケットから出した時に、鍵を落としてしまったパターンでしょう。
この時、私は鍵にチェーンを付けておりませんでした。
チェーンを付けていれば、絶対に落とした時点で気付いたはずです。
実際にその後、同じようなシチュエーションで鍵を落として、チェーンのおかげで助かっていますので。
こんな感じで私は人生最大のピンチを切り抜けたわけですが。
実際のところ、このシチュエーションで鍵が見つかっただけでも奇跡みたいなものではないか、と。
本当にドキドキでした。
何しろ鍵の形状が特殊なもので、下手に失くしたら鍵自体を交換するまで自宅に入れない可能性が高かったので。
こんな経験をしたからこそ、私は腰のチェーンを外せないのです。
ファッション的にアレだろうが、こればかりは絶対に譲れないのです。
カード入れと鍵を同じポケットに入れるのを止めればいいんじゃないか、と思うでしょう?
いや、私もそう思うんですけどね。
長年続けた性質は、なかなか直せないんですよねぇ。